個粋導入施設スタッフの生の声を聞きました。

VOICE with

個粋 ふれんどりぃの郷 編

神奈川県座間市にある『ふれんどりぃの郷』。デイサービスから泊まりまで対応する小規模多機能ホームには、個粋コンパクト(旧・個粋)が導入されています。今回は、自ら現場にも関わる会社代表にインタビュー。個粋がどのような理由で選ばれて使われているのかうかがいました。

*この記事は、過去記事〈もっと聞かせて!ユニバーサル介護浴槽「個粋」の魅力 導入後 編〉(2010年9月公開記事)を再掲載したものです。

ふれんどりぃの郷とは

今回お邪魔した『ふれんどりぃの郷』は小規模多機能ホーム。デイサービスや泊まり、訪問など必要に応じたケアプランを作成、サービスを提供することで、地域に住まう高齢の方々の在宅支援をサポートしています。

※小規模多機能ホーム:小規模多機能型居宅介護事業所。介護保険で利用できる地域 密着型サービスのひとつ

ここが座間「ふれんどりぃの郷」。 一般住宅を改装して作られた場所です

外のスロープ。建物と駐車場をつないでいます

部屋間は完全ユニバーサルデザインになっています
(写真は浴室と脱衣所の間)

外の光で明るいリビング。
今回はお昼時におじゃましました

個粋のある浴室はとっても広々

訳あって(?)お風呂とトイレは隣同士

『ふれんどりぃの郷』が大切にしているのは<家庭的であること>。スタッフは、利用者を仲間として考え、仲間を助けるという視点で日々の介助・サポートを行なっているそうです。

では、この小規模多機能ホーム『ふれんどりぃの郷』に個粋が選ばれたきっかけは? さっそくうかがってみましょう。

現場インタビュー

「問題を解消しながら個粋と共にめざす〈理想の入浴〉」

INTERVIEWEE

有限会社ふれんどりぃ代表
筒井さん

INTERVIEWER

メトス

メトス

個粋を知ったのは、何がきっかけでしたか?

筒井

ここ、ふれんどりぃの郷の改築を考えていた2年前、とにかく家庭的でいい介助浴槽はないか、と探していた中で出合いました。改築するなら、とにかくお風呂にはこだわる!と決めていたんです。理由はいくつかあります。ひとつは介助者への負担の問題。利用者とその家族の選択の問題。そして利用者の不安解消の問題ですね

メトス

それぞれについて、くわしく聞かせてください

筒井

そもそも、お風呂に入れられないと、どんなにここに来たい利用者さんがいても受け入れられないという問題があって。うちに来たい、と言ってくれる人は、要介護のレベルに関わらず『ここは家庭的で落ち着く。だから施設みたいな大きな集団に行くのではなく、ここを選びたい』という人たちです。しかもその中には、自宅での入浴が難しいから、どこか外で入浴する必要がある人がいたりする。だからこそ『ここに来たい、だけど私には入れないお風呂だから、しょうがなく施設に行く』という方が出ることの無いように、誰でも受け入れられるお風呂をなんとしても作りたかったんです

メトス

利用者さんや家族が安心して選べる場所にしたい、という筒井さんの意気込みですね

とにかく家庭的なふれんどりぃ。他にない魅力を感じて訪れてくる利用者を受け入れるには、お風呂対策が必須だったそう

筒井

ここの改築前、別の小規模多機能ホーム(ふれんどりぃの家)をはじめたときに、お風呂で本当に苦労したんです。利用者さんが入りたがるなら入れてあげたい。その一心で入浴介助をしていたのですが、ホーム内のお風呂が介助用ではない普通のお風呂だったんですね。なので寝たきりの人が来たときなどはもう2人がかりでお風呂に入れなくてはならなくて。1人が体を、1人が足を抱えて、お風呂のふちをまたぎながらの介助でした。当然、お風呂から出るとなれば、利用者さんの体をぐっと持ち上げなきゃいけない。そうしているうちにスタッフがみんな腰をやられちゃったんです。やってやれないことはないよ、と言いながら取り組んでいましたが、もし解決できる問題ならなんとかしたいと思っていました

メトス

介助負担の問題は確かに大きいと思います

とにかく家庭的なふれんどりぃ。他にない魅力を感じて訪れてくる利用者を受け入れるには、お風呂対 策が必須だったそう

筒井

それで実際探しはじめたのですが、そのとき考えていたのが、よくある介護浴槽やこれまでのような介護機器は使いたくないということだったんです

メトス

介助浴槽の必要を感じていたのに、ですか?

筒井

はい。私は特養(特別養護老人ホーム)や病院などに見られる、芋洗い式に洗った体をお湯に沈めるような介助浴が苦手なんです。お風呂に入れればいい、きれいにすればいい、という問題じゃない気がして。私はお風呂に入る楽しさ、気持ちよさをちゃんと感じられることを大事にしたいから。寝かされて入るようなお風呂じゃなくて、自宅でお風呂に入るような、家庭的なお風呂を見つけたかった。だから機械浴の要素を持ちながら、家庭的である、という条件で浴槽を探していました

筒井

それで、いろんな施設に見に行ったんです。その中で、入浴者を大きなスリングで吊るしてお風呂に入れるタイプのものを見ました。もちろん私は好きになれなくて『こんなので持ち上げられて、揺れて、不安だろうな』と思ってしまいました。でもそこで、椅子で入れるお風呂があればいいのにな、と思いついたんです。それでインターネットで探して出合ったのが『個粋』でした。見れば椅子リフト付きで、しかも不要時にはリフトが片付けらる。それも気に入ったんです、誰が入っても違和感の無いお風呂がいいと考えていたから。だから本当に『これだ!』と思って。すごく気に入ってしまって、すぐに(メトスに)電話しました

メトス

ありがとうございます! ちなみに導入時にコスト面は気になられましたか?イニシャルコストやランニングコストなど

筒井

実はあまり気にしませんでした(笑)。導入したとき、何が提供できるかの方が大事でしたね。購入後、福祉機器展で他社の浴槽も見ましたが、私は個粋がいちばん理想的と思いました

メトス

介助量の問題はどうなりましたか?

筒井

断然、楽になりました。個粋を入れてから無理な入浴介助がなくなりましたね。バースチェアも便利です。中には、部屋までバースチェアを持っていって、ベッドから乗り移ってお風呂へ移動、入浴後またバースチェアで部屋まで戻る人もいます

メトス

そういえば個粋を導入した際、全面改装で完全ユニバーサルデザイン化されていましたね。ユニバーサルデザインと個粋バースチェアは、かなりいい組み合わせに思います

筒井

また重度認知症の方の入浴介助も楽になりました。認知症の方の場合、一度お風呂に入ったものの、お風呂が終わりであること・お湯から出なくてはいけないことを意識できないときがあるんです。本人が意識していればすぐに動いてもらえるし介助もラクなのですが、そうじゃない状態で動いてもらうのは非常に大変。でも個粋ならばリフトでゆっくりと体を上げることができるので、介助量も少ないし、湯から離れることでお風呂の終了を意識してもらえます。その点もうれしいですね。ちなみに個粋はリフト部分収納できるので、介助なしで入浴できる方や軽い認知症の方にも違和感なく入ってもらえます。リロケーション・ショックを防げるのがいいですね *リロケーション・ショック: 生活環境や居住環境の変化などにより認知症の悪化が見られる現象。個粋は、家庭で使われる一般浴槽に限りなく近いデザインで、リロケーション・ショックを引き起こしにくくなっています。

筒井

いま、ふれんどりぃの家では、入浴時間をカリキュラムとして決めず、利用者さんそれぞれが入浴したいときに入るようにしているんです

メトス

えっ。時間を決めていないんですか?

筒井

はい。無理にカリキュラム化しないようにしています。入りたいときに入れるのがいちばんだと思っていて。ただお風呂嫌いの人も多いので、そういう人にはお風呂を促すような声かけをしたりしていますね。トイレへ行った帰りにお風呂へ入るよう、誘導したりもしますよ。利用者さんがトイレに行きそうなとき、急いでお風呂にお湯をためて、浴室のドアを開けておいて『あ、お風呂沸いてるねえ』『今日はどこの温泉かなあ』なんて言ってみたりして。そうすることで利用者さんがお風呂に関心を持って、自然に入ろうとしてくれますね

メトス

なるほど。お風呂とトイレが隣り合わせなのも、そういう理由からなんですね

筒井

あとは、利用者さんがお風呂に入る時間を、徐々に夜に近づけています。そもそも私たちの生活には、一日を終える夜にお風呂に入る習慣がある。それは利用者さんも同じですよね。別にこういうところだから昼間入らなきゃいけないわけじゃないし、実は認知症の人も『なんでお昼にお風呂に入るの?』って思っているかもしれない。そう考えてお風呂を夜に戻すようにしています。実際に、夜になるといつも騒いでしまう宿泊利用者が、夜にお風呂に入れた日はおとなしく眠りにつくなど変化が見られていますね。お風呂に入ることで、泊まる、眠る、という意識付けができるようです。そんなことも見られているので、夜のスタッフを少し増やして、夜のお風呂を進めていこうと思っています

メトス

興味深い試みですね。個粋が、理想の入浴の後押しとなることを願っています。今日は貴重なお話をありがとうございました

バースチェアは座面から背もたれが分離、リフトによって座ったまま浴槽に入れる。青い部分は腹部を固定するベルト。黒は肘置きになるバー

中にはお孫さんと一緒に入浴を楽しむ利用者さんも(お孫さんの存在が入浴へのモチベーションをアップさせているのだそう)

隣接させたことで、トイレの失敗後にもお風呂に入れるようになっています

今回、現場の声として、個粋が選ばれた理由や私たちの知らない活用法など、個粋の新たな魅力をうかがえて大変勉強になりました。また個粋のことに収まらず、ふれんどりぃの介護について、熱意あるお話をうかがえました。こういった介護・福祉へ本気で取り組む場所に個粋が選ばれたことはとても光栄なことだと思っています。筒井さん、ふれんどりぃの皆さん、お忙しい中ありがとうございました。

施設情報

名称/小規模多機能型居宅介護事業所 ふれんどりぃの郷
住所/〒252-0014座間市栗原中央4丁目23-21
電話/046-210-3811
交通/相鉄線さがみ野駅より車で8分
   (神奈川中央交通バス 栗原交番前下車約500m)
<ホームページ>http://zama-friendly.comp