まずはサウナに入ってみよう

まずはサウナに入ってみよう

 ドアを開けてサウナ室に入ると、乾いた熱気に包まれます。ベンチの中段から上段に静かに座ってください。(注3)温度は80℃〜90℃くらいです。(注4)他にお客様が居ない時は、ベンチにごろりと横になるのが、一番楽な入浴姿勢です。個人差はありますが、5分くらい経ちますと、身体中の汗腺から玉のような汗が噴き出してきて、発汗が盛んになってきます。

 皮膚が熱気にさらされると、体表面の温度上昇を抑えようと、循環器系統の働きが活発になり、血液の流れが増加します。体表面の血液は皮膚に加えられた熱を体内深層部に伝え、体温は徐々に上昇しますが、この血液による熱伝導の為に、過度に熱せられるのを防ぎます。循環器系統への熱の付加(負荷?)が強まるにつれて、心臓の血液供給の働きは活発となり、心拍が早くなり、平常の室内温度で安静な状態にあるときと比べると、心拍数は2倍にもなります。しかし、サウナ浴による心臓への負担は、平地をゆっくり歩くのに要するのと、ほぼ同じと言われています。浴槽に首までどっぷりつかる入浴法の方が、身体中に水圧がかかる為、心臓への負担は大きいと言われています。

 血液の流れだけでは皮膚表面の温度上昇を抑えきれない為、発汗が始まり、その蒸発熱で体表面を冷却するようになります。北方系の人と南方系の人では違いがあるようですが、人間の汗腺は200万〜400万個あるそうです。現代人では日常、その汗腺の半分も働いていないそうですが、サウナ浴によって、その全てが活性化され働き始めるようです。また、サウナでの発汗と共に、体内に蓄積された乳酸、重金属、等の老廃物が排出される(注5)ことも証明されています。

 10分〜15分経ちますと、身体中からかなりの汗が流れ落ちてきますが、このへんで一度、サウナ室から出て下さい。ゆっくりと、ほてった身体をさましながら、心臓に遠い手足の方から徐々に水を掛けて、最後は頭。汗を十分洗い流してから水風呂に浸かります。何とも言えない爽快感が味わえるはずです。サウナと水風呂に入ることを一般的には1回と数えます。これを休憩を挟んで3回くらい繰り返すのが標準的です。

注3) ベンチは3段設けるのが基本ですが、日本の一般的営業サウナでは、建物の階高に制限があったり、デザイン優先の為なのか、2段の所が多いようです。
注4) 一昔前までは、「100℃を超える温度でなければ、サウナじゃない!」と言って、我慢大会になっていることが少なくなかったのですが、最近では80℃前後のサウナが多く見られるようになりました。
注5) 発汗によって水分が失われる他に、身体に必要なミネラル成分も同時に失われます。サウナ浴の後で、水分とミネラルの補給が必要です。(詳しくは、次回掲載の「3.サウナの正しい入り方」をご覧下さい。)

(文責:中山真喜男)